令和6年7月1日大津市JIAMにおいて、市町村議会議員研修「社会保障・社会福祉」に参加した。日本福祉大学 渡辺顕一郎教授の講義内容の要点をまとめた。
1 日本における子ども家庭支援の動向
2015年度から子ども・子育て支援法を柱とする「子ども・子育て支援新制度」がスタート。
2016年度「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)スタート
2019年10月から、3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化スタート
0歳から2歳までは、低所得(住民税非課税)世帯に限り無料。
認可外保育、幼稚園の預かり保育、障碍児の児童発達支援は、原則無償
(5)子ども基本法(子ども権利条約cf2023年度から施行)、こども家庭庁の創設
2 予防型支援と包括的な仕組みづくり(子ども家庭センター)
(1)予防型支援としての子育て支援
地域や社会全体で子育てを支えること
ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチ
(2)子ども家庭センターの創設
・ 2020年度末までに、妊娠期から子育て期までの切れ目のない支援を提供する「子育て世代包括支援センター」(母子保健法の名称は「母子健康包括支援センター」)の創設に努める。
子育て世代包括支援センター ⇒ 市町村子ども家庭総合支援拠点 ⇒ 要保護児童・要支援家庭として児童相談所等による介入
3 少子化の背景にある経済的要因
・国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施したアンケート調査によると、結婚している男女が理想の子供数持たない最大の理由は「子育てや教育にお金がかかりすぎること」
・子育ての費用については、平成17年に内閣が発表した「社会全体の子育て費用に関する調査研究」によると、18歳までの子育て費用合計は約1,700万円とのこと。大学に進学すれば、国立243万円、私立文系が398万円かかる。
4 子育て家庭に対する経済的支援
(1)児童手当
月額1万円(3歳未満1万5千円)であり、仏や独と比べると給付額低く、年齢も低い。
(2)児童扶養手当
児童1人の場合、満額41,990円だが、所得に応じ9,910円まで減額される。
児童2人の場合5,000円加算、3人の場合3,000円加算。
(3)高等教育に対する支援
大学になると預貯金など貯蓄を取り崩している(総務省「全国消費実態調査」から)。
日本学生支援機構によると、奨学金を受給している大学生の割合は47.5%
我が国の奨学金は貸与型が大半であり、給付型は少ない。
日本の高等教育(大学)への公的支出は、先進諸国の中では低い。
・大学等における修学の支援に関する法律が令和2年施行
授業料等の減免や給付型奨学金の支援を行うこととされたが、対象が住民税非課税世帯などが対象であり、中間所得層に対する支援が希薄である。